シネマッド2019年5月号
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四………………………………………………………………………マイ・ブックショップ〔監督・脚本=イザベル・コイシェ/原作=ペネロピ・フィッツジェラルド/出演=エミリー・モーティマー、ビル・ナイ 、パトリシア・クラークソン/ナレーション=ジュリー・クリスティ/’17 年度=英西独合作/1時間52分〕 1959年、イギリスの田舎町。第二次大戦で夫を亡くした未亡人のフローレンス(モーティマー)は古い空き家を買い取り、夢だった書店を開く。周囲は商売にならないと反対するが、長く邸宅に引き篭って本を読むだけの日々を送っている老紳士ブランディッシュ(ナイ)だけは応援してくれた。そんなこともあって店の経営は徐々に安定していく。が、その古民家を資料館にしようと計画していた地元の有力者ガマート夫人(クラークソン)は、フローレンスの店を閉鎖に追い込もうと嫌がらせを続け、政界にも手をまわす…。灰色の雲、潮風、町の色彩…全てが陰湿な雰囲気を演出しヒロインを追い込む。そのぶん観る者は「頑張れ!」と彼女を後押し。終盤は息苦しいが、ラストの展開で救われ、本が愛おしくなる。〔良〕………………………………………………………………………希望の灯り〔監督・脚本=トーマス・ステューバー/原作・脚本=クレメンス・マイヤー/出演=フランツ・ロゴフスキ、サンドラ・ヒュラー、ペーター・カース/’18 年度=独作品/2時間5分〕 アウトバーン沿いのライプツィヒの人々は〝ベルリンの壁〞崩壊で心の祖国も失った。毎晩ビールをあおり郷愁に浸る中年男、近郊のスーパーマーケットで働く寡黙な青年、ワケありの人妻…それらの慎ましい生活の情景を、数々の名曲に乗せて詩情豊かに描いた異色の感動作。………………………………………………………………………荒野にて〔監督・脚本=アンドリュー・ヘイ/原作=ウィリー・ブローティン/出演=チャーリー・プラマー/’17 年度=英作品/2時間2分〕 母に捨てられ、父を亡くして天涯孤独になったチャーリー(プラマー)は家計を支えるため世話をしてきた競走馬が殺処分されると知り、独り老馬を引き荒野を歩きはじめる…。ベネチア国際映画祭でマルチェロ・○C2017Green Films AIE,Diagonal Televisio SLU,A Contracorriente Films SL,Zephyr Films The Bookshop Ltd.

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