シネマッド2021年7月号
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今こそ心穏やかに…チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世●パーソナリティ玉田陽子〔オフィス・タマランズ代表〕 ブラッド・ピット主演で1997年に公開された映画『セブンイヤーズ・イン・チベット』をご覧になった方は多いでしょう。若き日のダライ・ラマと伝説の登山家との交流を描いた作品です。 この感動作の主な撮影場所であるネパールを私は何度か訪ねました。世界最高峰のエベレストが神々しくそびえ立ち、素朴な人々が暮らしています。どこの店にもメガネをかけて微笑むダライ・ラマ14世の写真が飾ってありました。 1995年3月30日、冷たい雨の降る日。ダライ・ラマ14世が広島にお越しになりました。この日、私は市内のホテルで仕事の打ち合わせをしていました。ロビーには、顔が日本人によく似たチベットの男性が1㍍間隔で正面玄関まで立っていました。もしかして…と、近くにいた男性に「ダライ・ラマ?」と尋ねると深くうなずき「ここにいなさい」と言ってくれたような気がして一緒に待たせてもらいました。 しばらくしてエレベーターから、厳しい顔のボディガードと共にあの写真と同じメガネで小豆色とからし色の法衣姿のダライ・ラマ14世が現れました。その瞬間、呆然と立ちすくんでいる私に、隣にいた男性がそっと背中を押してくれました。私は思わず両手を合わせてひざまずき、「I am glad to see you」と言うのが精いっぱい。するとダライ・ラマ14世は、微笑みながら私の両手を柔らかく包んでくださいました。あの手の温もりと優しい笑顔は今も忘れられません。 1989年、非暴力を貫く活動が高く評価されノーベル平和賞を受賞されました。コロナ禍の今、諸外国への訪問は難しく、ネット中継での法話やオンラインでの対話で、今日も世界中の人々へメッセージを発信していらっしゃいます。 今だからこそ、ダライ・ラマ14世のお言葉を日本公式サイトから引用します。《心が穏やかで平和なら、優しい行動につながります》〜その13〜11訪れたネパールで撮った世界最高峰エベレスト(撮影=木下泰嘉)

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