シネマッド2021年9月号
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 やはり、そうなのか―。《日給六万円も…医師会がワクチンで荒稼ぎ》とか《ワクチン接種日当十七万五千円で医師を募集、国負担で釧路市》などと指摘する週刊誌や新聞の報道に、驚きと失望の念を深めた国民も多いのではないか。 菅政権は「コロナ失政」の信頼回復へ、高齢者の7月末までの「接種完了」を宣言。医師らの接種料を時給二千七十円から七千五百円に引き上げた。同時に、自衛隊による集団接種や、大学・職域を含む65歳以下の接種拡大に踏み切り、列島はワクチンの「打ち手不足」に。医師らに支払われる経費の高騰が続く。 こうした動向に、密かにほくそ笑んでいるのが前述の医師会こと「日本医師会=日医」(中川俊男会長・開業医ら十七万二千人)だろう。中川会長はテレビ出演で「医療崩壊」回避のため国民に会合自粛を厳しく求めながら、裏で政治資金パーティーを開いていたことがバレて批判を浴びた。また、歯科医のコロナワクチン接種に反対も。自分たち「日医」の利権擁護と拡大のための政治活動は目に余るものがある。 今、思い起こすべきは『医は仁術』との格言だ。《医は仁愛の徳を施す術である。単なる金儲けの手段であってはならぬ》と説く。貧困者からは診察料や薬代も取らなかった江戸の町医者・小川笙船の実践に学ぶ。笙船はその風貌から「赤ひげ先生」と慕われた。以来、「医者」のお手本とされ、小説や映画にもなった。 もちろん、われわれの周囲に「現代の赤ひげ先生」を見かけなくはない。コロナパンデミック下、日夜奮闘しているのは公立病院などの〝薄給の身〞の勤務医たち。多方面から感謝のエールが寄せられた。が、ワクチン接種でも「日医」傘下の医師との手当格差が広がっている。 コロナ終息の切り札として、国も地方自治体も「ワクチン接種」にどんどん予算を積み上げている。原資は税金。必ずや、国民に「付け」が回ってくる。チェックが必要だ。 その百九十五十い じんじゅつ﹁仁術﹂変じて﹁算術﹂!?医は仁術かねもうあらかせしょうせんふうぼう

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