シネマッド2021年10月号
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五………………………………………………………………………ホロコーストの罪人〔監督=エイリーク・スベンソン/出演=ヤーコブ・オフテブロ、クリスティン・クヤトゥ・ソープ、シルエ・ストルスティン/’20 年=ノルウェー/2時間6分〕 第二次世界大戦下のノルウェー。ボクサーのチャールズ(オフテブロ)が結婚、一家は幸せな毎日を送る。間もなくナチスがノルウェーに侵攻して国民生活も一変、チャールズらユダヤ人の男たちはベルグ収容所に送られ強制労働、残された母や妻は不安な日々の中でスウェーデンへの逃亡も考えはじめる。 1942年11月、秘密国家警察の指揮下で警官とタクシー運転手らの手でユダヤ人は次々にオスロ港へと強制移送され、貨物船「ドナウ号」に乗せられる。その数五百二十九名。行き先はアウシュビッツだった…という、ノルウェー史上最悪の国家的犯罪を、2012年になって首相が公式に謝罪表明した。当時の悲劇を克明に描いた社会派の問題作。………………………………………………………………………モロッコ、彼女たちの朝〔監督・脚本=マリヤム・トゥザニ/製作・共同脚本/ナビール・アユーシュ/出演=ルブナ・アザバル、ニスリン・エラディ、ドゥア・ベルハウダ/’19 年=モロッコ・仏・ベルギー・カタール/1時間41分〕 カサブランカの路地を彷徨う臨月の美容師サミア(エラディ)。この国では婚外交渉と中絶は違法で、未婚の母は社会保障も受けられない…。困り果てた末に道に横たわる彼女を見かねて、小さなパン屋を営む女性アブラ(アザバル)が家に招き入れ、しばらく面倒をみることに。アブラは夫を亡くして以来、女手ひとつで一人娘ワルダ(ベルハウダ)を育てている。居候の恩返しにサミアは得意のパン作りを手伝う…。 実話に基づいた感動作。女性監督作品として初のモロッコ代表としてアカデミー外国映画賞に出品されたほか、カンヌ国際映画祭など多くの映画祭で絶賛された感動作。○CAli n' Productions – Les Films du Nouveau Monde – Artémis Productions

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