五撮影、美術、照明…とそれぞれの匠たちが最高の技で現場をテキパキと準備する。仙三郎の妻を演じた戸田は「現場を素敵な雰囲気につくってくださったのでスーッと役に入っていけましたね。役者として嬉しいし幸せでした」と振り返る。 明治編のクライマックス、仙三郎が吟醸酒「花心」を完成させ、最初に妻に飲ませるシーンが秀逸で、感動の涙を誘う。その撮影現場で戸田が「本番では本物の吟醸酒をいただけますか。〝香り〞を感じたいので」と注文したのを目撃した。実は十日前の現代編で、完成した酒「追花心」をヒロインが母と祖母に振る舞う場面でも、祖母役の丘みつ子が全く同じ注文をした。二人の名女優の名女優たる理由だろう。そのエピソードを話したところ、戸田は「嬉しい…。（養女の）ミヨがお花を摘んできてくれた（光景と重なり）…お酒も花の香りが…」と目を潤ませた。 オール広島ロケで、竹原の重伝建の邸宅や各地の古い酒蔵が雰囲気を醸し出す。「質感とか寒さとか音がリアル。その佇まいが奇麗でした」と戸田が言えば、油谷監督は「本物の味わいがありますよ。この映画を観たら日本酒が飲みたくなる」と。InterviewInterview○C2021ヴァンブックはなこころおいはなこころ
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