シネマッド2021年12月
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14 80年前の昭和16年12月8日(日本時間)、日本海軍機動部隊がハワイ真珠湾の米海軍太平洋艦隊を奇襲した―。山本五十六連合艦隊司令長官からの攻撃命令は、暗号電文「ニイタカヤマノボレ」、そして「我奇襲に成功せり」の報告電文が「トラ・トラ・トラ!」だった。 この作品は単なる戦記ものではない。アメリカ人からは「卑怯な奇襲」と罵られていたが、実際はどうだったのか―。関係者の証言や手記、極秘文書などに基づき、日米双方から“経緯”を詳細に綴り開戦の背景を浮き彫りにする。 米側の監督は『ミクロの決死圏』などのリチャード・フライシャーが担当。日本側は当初、黒沢明の予定だったが製作陣と演出方針が噛み合なかったのか降板、急きょ戦記ものを得意とする舛田利雄と『仁義なき戦い』を撮る前の深作欣二が抜擢された。脚本は黒沢組の常連である小国英雄と菊島隆三が軍部と政府との息詰まる駆け引きを描いてみせた。そして撮影には名手・姫田真佐久、佐藤昌道、古谷伸があたった。 広島では昭和46年12月19日(土)から「70㎜東劇」(現在の胡子神社あたり)で上映され、大ヒット!。画面の大きさだけでなく、実録のサスペンスに圧倒された。ことに米側は日本の暗号電文を全て解読して警戒しておきながら、情報が各部署に伝わらなかったり油断があったり、そして「開戦するなら日本に先制させろ」という上層部の思惑があったり…。日本側でも手違いがあったり、強硬派である陸軍と慎重派の海軍との駆け引きなど、戦争はこうして始まるものなんだとショックを受けたことを今もなお強烈に覚えている。 出演者は皆、実力派の名優たちで、恋愛映画に仕上げた『パール・ハーバー』(2001)とは格が違う。File No.48『トラ・トラ・トラ!』TORA! TORA! TORA!〔1970年=FOX配給/150分◆R・フライシャー、舛田利雄、深作欣二共同監督〕

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