シネマッド2022年1月
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16 名優クリント・イーストウッドの監督50周年記念作品『クライ・マッチョ』が公開される。思えば小学生の頃、大人気テレビ西部劇『ローハイド』(’59年~’65年)での彼のカウボーイ姿に夢中になったものだ。その後、マカロニ西部劇『荒野の用心棒』(’64年)などでのニヒルなガンマン役でブレイク、『ダーティハリー』(’71年)で不動の地位を築いた。同じ年に初監督したのがこのサスペンス映画。 デイブ(イーストウッド)は地元ラジオ番組の人気パーソナリティで、音楽の合間に文学や哲学などの洒落た話をしている。番組にはいつも同じ時間に一人の女性から名曲『ミスティ』のリクエストが来る。これが原題《『ミスティ』をかけて》に繋がるわけ。 ある夜、デイブが事務所代わりに使うバーに行くと、一人の美女が近づいてきた。モテる男は誘いに乗り彼女のアパートに…。女の名はイブリン(ジェシカ・ウォルター)で、あのリクエストの主だった。以来、彼女はデイブの家に押し掛けるようになり、異常な言動で彼を悩ませる…という、今で言うストーカーのホラー映画で、「男性諸君、つまみ食いは体と心に悪いよ」という警告だ。 名曲『ミスティ』は’54年にジャズピアニストのエロール・ガーナーが作曲したもので、劇中に流れるが、後にスタンダードナンバーとしてエラ・フィッツジェラルドやサラ・ボーンらが歌い大ヒット。「Look at me…」で始まる甘い曲だが、この映画だと意味深長。 イーストウッドの音楽センスや演出の緩急も光る。ちなみに舞台のモントレー半島カーメルは後に彼が市長を務めたほどお気に入りの場所。なお『ダーティハリー』などの盟友ドン・シーゲル監督がバーテンダー役で友情出演。File No.49『恐怖のメロディ』Play Misty for Me〔1971年/108分◆クリント・イーストウッド監督・主演〕

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