シネマッド2022年2月
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16 巨匠スピルバーグのリメイク版が公開されるが、この“御本家”の衝撃をどれだけ超えられるか― 冒頭、不規則な縦線デザインが序曲に合わせて色を変え、音楽が終わると縦線が摩天楼になった!タイトルデザインの名手ソール・バスによるもので、エンディングのクレジットにもご注目を。 現代版ロミオとジュリエットの物語をブロードウェイの舞台からマンハッタンの街に引っ張り出し躍動感のあるミュージカル映画にしたのは名匠ロバート・ワイズと共同監督で振付師のジェローム・ロビンスの手腕。路地裏を縦横に走り回りながらのモダンダンスと歌の迫力は当時、衝撃的だった。スラム街や人種問題も描き切った社会派ワイズ監督もお見事。 アカデミー賞では作品、監督、助演男優、助演女優、撮影、美術、編集、音響、音楽、衣装デザインの10部門と、ロビンスの名誉賞を受賞した傑作である。主演のナタリー・ウッドも好演したが歌が吹き替えだったため候補から外され、同年の『草原の輝き』でノミネートされた。 吹き替えたマーニー・ニクソンだが、『マイ・フェア・レディ』のオードリー、『王様と私』のデボラ・カーらも担当した“陰の歌姫”。彼女を初めて表舞台に出したのはワイズ監督で、’65年の『サウンド・オブ・ミュージック』での尼僧ソフィア(智恵の意)役だ。上記の作品で聴き比べするのも一興。 話を戻すが、バーンスタインの音楽も時にダイナミックに、時に甘く切なく胸に迫る。中高生の頃に酔いしれ、必死で覚えたことで音楽と英語も好きになった。 さてワイズ監督は一本はさんであの超ヒット作『サウンド・オブ・ミュージック』を撮ったのだがそこには裏事情が…。以下次号。File No.50『ウエスト・サイド物語』WEST SIDE STORY〔1961年=ユナイト映画/152分◆ロバート・ワイズ監督〕

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