シネマッド2022年2月
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お好み焼を熱く語る広島市立大学  特任教授國本善平さん●パーソナリティ玉田陽子〔オフィス・タマランズ代表〕 「私ごときで良いのでしょうか」國本さんの第一声です。広島市役所勤務37年で、退職後は大学で教鞭をとっていらっしゃいます。 市役所では広報紙『市民と市政』の編集やテレビ広報などを約10年。その間、私も広報番組を担当させていただいた縁です。一見、物静かで穏やかなイメージですが、行政マンらしくない方です。広報紙を多くの市民に読んでもらいたいと、印象的な紙面企画に苦心されました。曰く「役所っぽさをいかに無くすかにこだわった」そうです。 山口県出身で大学は岡山、そして“Jターン”で広島に。市役所に勤務する傍ら『おやじ活性化委員会』で横川の「かよこバス」復元に関わり、『広島路上観察倶楽部』では街角の“不思議な物件”を探してこられました。平和大通りで行った期間限定のオープン・カフェの社会実験も國本さんの発案。それが発端となって今は川沿いに定着しています。 広島で初めて食べたお好み焼の味が「優しくて印象が強かった」そうです。素晴らしい食文化だと感じ、どのようにして誕生したのかを調べ15年ほど前から修学旅行の中高生に「なぜ広島にお好み焼があるんじゃろう?」というテーマで話をしていらっしゃいます。ホットプレートを持参して旅館に出向き、お好み焼を実演しながらの講話。聴講の子どもたちにも手伝ってもらうそうです。「ひっくり返して」と言うと力んで上手くできませんが、「持ち上げてそっと裏返して」とコツを伝えるときれいに裏返るとのこと。毎年3、4校の、関東や関西の子どもたちがお好み焼の優しい味と、國本さんの言葉に癒されています。 「終戦後の苦しい暮らしの中から生まれ、鉄板を囲むお好み焼店は、温かいコミュニケーションを育んできたと思います。それが復興の支えにもなったでしょう」と。 広島でお好み焼に出合い、今日も平和な暮らしの意味を緩やかに発信していらっしゃいます。〜その20〜11「あたご屋」で國本さんと(撮影は店主の小原きよ吉さん)くにもと ぜんぺい

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