シネマッド2022年2月
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五哲也、片渕須直/出演=瀧内公美、光石研、丘みつ子、川瀬陽太、和田光沙 /’20 年/2時間32分〕 ドキュメンタリーのディレクター由宇子(瀧内)は、局の上層部と衝突しながらも真実を世に問う硬派だ。今は三年前に起きた女子高生いじめ自殺事件の関係者にカメラを向けて証言を集め、少しずつ真相に近づきつつあった。 そんなある日、学習塾を営む父の政志(光石)から、予想もしなかった衝撃的な事実を聞かされ由宇子は究極の選択を迫られる…。 瀧内が好演しラス・パルマス国際映画祭では最優秀女優賞を受賞した。 小誌2015年8月号から16年7月号まで随筆「映画ときもの」を連載した黒川忠雄氏が新著を出版した。題して『映画で楽しむきもの』―。かつての随筆を上回る“映画愛”と“きもの愛”が溢れる一冊だ。 日本映画の黄金期を彩った名作の数々から35作品をピックアップ、女優たちがどんな和装を、どんなゴーディネートで着こなし、役柄や場面ごとの心情を美しく表現したか―を、着物や帯、小物の歴史的な蘊蓄をはじめ、素材や柄の意味合いも含めて解説しながら、映画的な演出効果も讃えているのが興味深い。さらには自らの邦画ポスター・コレクション1,300枚の中から10枚を厳選して掲載したほか、鎌倉の染色作家・浦野理一氏による映画と同じ柄の紬などの写真や、加賀友禅作家の二代目・由水十久氏による“映画柄”の加賀友禅染め名古屋帯の表紙と凝った造りになっている。三省堂書店・創英社刊/A5判・92頁/1,980円※全国主要書店のほか「加賀友禅の店くろかわ」で=☎082・433―2331和装から見る女優の美しさと心情黒川忠雄著『映画で楽しむきもの』○C2020映画工房春組 合同会社

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