シネマッド2022年3月
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14 物語はご存じ、ナチの手を逃れアメリカに亡命して人気を集めたトラップ一家合唱団の実話。西独映画『菩提樹』(’57)で描かれた後、『南太平洋』や『王様と私』などのオスカー・ハマースタインII作詞&リチャード・ロジャース作曲でミュージカル化(’59)、ロングランヒットした。これを執念で映画化したのが20世紀フォックス。 実は、業績不振の同社は超大作『クレオパトラ』が当たらず倒産寸前!。是が非でもヒットさせて立て直しを図りたかったという。そこで巨匠ウィリアム・ワイラーに監督を打診したが、ワイラーは気乗りしなかったのか、反ナチス色を強調したいと言い出したり、次回作『コレクター』に気持ちが移っていたりで、降板―。 そこでフォックスは『ウエスト・サイド物語』を成功させた名匠ロバート・ワイズに声をかけた。ちょうどその頃、ワイズは念願の超大作『砲艦サンパブロ』に取りかかっていたが、資金難で中断していたのだ。まさにお互い“渡りに船”。ワイズは、大ヒットさせるので『砲艦サンパブロ』に資金を出してくれ―と交渉。 こうして完成した作品は世界中で大ヒットし、総製作費820万㌦(当時のレートで約30億円)に対し通算の世界興行収入が約3億㌦という大記録!。アカデミー賞では10部門にノミネートされ、作品、監督、音響、編集、編曲の5部門でオスカーを手にした。 当地では’65年9月11日から広島朝日会館で上映された。中学生の私は親友Y君と観に行った。確か入場料金は250円だったと思う。3時間、銀幕に魅き込まれて胸が躍った。Y君と顔を見合わせて、続けてもう一度観た(当時、指定席以外は入れ替えなし!)。ここからCINEMAD(映画狂)の道が始まった。File No.51『サウンド・オブ・ミュージック』The Sound of Music〔1965年=20世紀フォックス映画/174分◆ロバート・ワイズ監督〕『サウンド・オブ・ミュージック』初版パンフレット

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