シネマッド2022年3月
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三いることも要因のようだ。平和公園や国際会議場、安芸灘大橋、御手洗のシックな宿、安佐南区安公民館の駐車場、グランドプリンスホテル、演劇祭の舞台シーンは東広島の芸術文化ホールくらら、瀬戸内海の景色などが登場する。中でも濱口監督の心をとらえたのは平和公園から吉島通り、環境局中工場(ゴミ焼却場)を抜けて海辺へと続く〝平和の軸線〞と街全体の〝文化の香り〞だと言う。 実は東京でのシーンを撮り終えた後、ロケの自由度が高い韓国で撮影する予定だったが、コロナ禍で中止になった。そこで国内を探し回って広島にたどり着いた。すぐに脚本を書き直し、一昨年11月にロケを再開して完成に漕ぎ着けたわけだ。   「三時間」に尻込みしていたが   いざ観れば、あっという間。登場人物の言葉と演劇の台詞が響き合い、心の奥底を炙り出すような、時に厳しく、時に優しく、傷ついた心に寄り添っているように感じて、それを読み取ろうと魅き込まれる…という仕掛けか。他言語演劇というのも興味深く、終盤、家福の肩越しに韓国手話の女優が〝語りかける〞シーンに涙がこぼれた。  【良】 さて、アカデミー賞の発表・授賞式は日本時間の3月28日。「快挙」の期待大だ。吉報を待って観るのか、観てから吉報を待つか―。○C2021「ドライブ・マイ・カー」製作委員会

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