シネマッド2022年3月
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四………………………………………………………………………偶然と想像〔監督・脚本=濱口竜介/出演=古川琴音、中島歩、玄理、渋川清彦、森郁月、甲斐翔真、占部房子、河井青葉/’21 年/2時間1分〕 偶然から始まる人間関係の変調を綴る、濱口監督初の短編集。話題作『ドライブ・マイ・カー』に先駆けて第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞。▼第一話「魔法(よりもっと不確か)」=モデルの芽衣子(古川)は仕事帰りのタクシーで、親しいヘアメイク係つぐみ(玄理)から、出会ったばかりの気になる男(中島)とのノロケ話を聞かされ適当に相槌を打っていた。つぐみが先に降り、芽衣子が運転手に告げた次の行き先は…。▼第二話「扉は開けたままで」=作家でもある大学教授の瀬川(渋川)は、欠席の多いゼミ生・佐々木(甲斐)に単位を与えず、佐々木の就職内定は取り消しになる。恨んだ彼は同級生の奈緒(森)に色仕掛けの罠を依頼、瀬川をスキャンダルで失墜させようと企むのだが…。▼第三話「もう一度」=高校の同窓会に出るため仙台に戻った夏子(占部)は、駅前のエスカレーターで旧知のあや(河井)とすれ違う。互いに駆け寄り二十年ぶりの再会に大喜びして話し込む二人だが、やがて想像すらしなかった〝関係性の変化〞が訪れ、戸惑うのだった…。 第22回「東京フィルメックス」ではオープニングを飾り、観客賞を受賞。………………………………………………………………………再会の奈良〔監督・脚本=ポンフェイ/製作総指揮=河瀨直美、ジャ・ジャンクー/出演=國村隼、ウー・イエンシュー、イン・ズー、秋山真太郎、永瀬正敏/’20 年=中日/1時間39分〕 「なら国際映画祭」実行委が期待の若手監督を招き、奈良を舞台にした映画を製作・上映する「NARAtive」プロジェクトの最新作。同映画祭の〝総監督〞で奈良出身の河瀨直美と、秀作『長江哀歌』などで知られるジャ・ジャンクーが製作総指揮。 2005年11月―。中国残留孤児だった父親が再び中国に戻った後も日本に留まっていたシャオザーこと清水初美(イン)は、父からの電話を受ける。血の繋がりはないものの、

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