14〔1966年=20世紀FOX映画/195分◆ロバート・ワイズ監督〕The Sand PebblesFile No.52 公約どおり(前号本欄参照)大作『サウンド・オブ・ミュージック』を大ヒットさせたロバート・ワイズ監督はFOXから製作費の応援を得て、念願の『砲艦サンパブロ』撮影に入った。原作に惚れ込んだスティーブ・マックィーンも自らの事務所から出資、水兵ジェイク・ホルマン役に取り組んだ。 物語は1926年、中国統一のため蒋介石が革命軍を立ち上げた頃、列国は揚子江沿岸に広がる自国の権益と自国民を守るために艦艇を出動させていた。アメリカ海軍の中古警備艦サンパブロ号に、一等機関兵ホルマンが赴任してくる。艦内は中国人が機関室を仕切り、乗組員はのんびり…。そんな中でホルマンは若い中国人の助手ポーハン(マコ/岩松信)と親しくなりエンジンの仕組みから教える。 やがて排外思想が激しくなり、アメリカ人伝道師たちを救出する困難な任務に艦長(リチャード・クレンナ)は苦悩する…。同僚水兵フレンチー(リチャード・アッテンボロー)や美しい伝道教師シャーリー(キャンディス・バーゲン)たちとのエピソードも交えて、ホルマンの過酷な運命を通し「他国の紛争に立ち入る列強の傲慢さ」、つまり当時のベトナム戦争を痛烈に批判した意欲作。 当然ながら米海軍の協力は得ることができず、香港で約20万㌦を投じて製造された「中古の砲艦」は撮影後、南ベトナムに寄贈されて海のホテルになったという皮肉。 総製作費1,200万㌦(当時の相場で40数億円)を投じたこの大作、公開初日の興行収入は『サウンド・オブ・ミュージック』を上回ったという。アカデミー賞では作品、主演男優、助演男優(マコ)、撮影、美術、音響、編集、作曲の8部門にノミネートされた。広島では翌67年5月に70㎜東劇で公開。『砲艦サンパブロ』
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