シネマッド2022年5月
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※「アナテフカ」は架空の村/当時は東西冷戦下のため現在のクロアチアの村などでロケされたFiddler on the Roof14〔1971年=ユナイト映画/182分◆ノーマン・ジュイソン監督〕 『ひまわり』と並び、ウクライナといえばこの名作。大ヒットしたブロードウェイ・ミュージカルの映画化で、イスラエルとロンドンの舞台で主人公のテビエを演じたトポルが主演し、アカデミー主演男優賞にノミネートされた。また作品、監督、美術・装置、助演男優でも候補になり、名手オズワルド・モリスが撮影賞、絶好調ジョン・ウィリアムスが編曲賞、さらに音響賞も受賞した。 百年余り前の帝政ロシア時代、ウクライナの小さな村アナテフカにはユダヤ人が永年の伝統に従い慎ましく暮らしていた。ただし、テビエの幼馴染みでもあるロシア人の巡査部長たちが任務上、目を光らせてはいるが、静かで平和な毎日だ。ある日、伝統どおり仲人の婆さんがテビエの長女に肉屋の後妻はどうかと縁談を持ちかけるが、長女は仕立屋と恋仲だった。若い二人はテビエに結婚の許しを得ようと説得に奮闘する。“しきたり”に反した恋愛結婚には抵抗があったが、テビエは二人を認める。そして名曲「サンライズ、サンセット」が流れる中で厳かに挙式が執り行われる。そこへ政府の命令で巡査部長たちが乱入し、祝いの席はめちゃくちゃに…。 続いて次女は、革命の罪で逮捕されたキエフの学生を追い極寒のシベリアに。三女はロシアの若者と駆け落ち。さらにはテビエたちも村を追い出され、僅かな荷物を持って旅立つことに…。 時代の流れに翻弄されるテビエたちの哀感を、名手アイザック・スターンのバイオリンの音色と、『ウエスト・サイド―』の振付師ジェローム・ロビンスのダンスが盛り上げる。旧約聖書の時代から迫害されてきたユダヤ人の歴史も滲ませながら。そして現代の圧政ロシアを“予言”しながら…。File No.53『屋根の上のバイオリン弾き』

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