手法は、少女が見たこと、聞こえたもの、考えたことを強烈に伝える。大沢一菜の抜擢について森井監督は「オーディションでは緊張してたのか大人しかったけど、とても良い顔をしていて、どこか遠くを見てるような目が印象的でした。でも撮影になると楽しかったのか、どんどんやんちゃになっていき、完全にアンコントロール状態」と笑いながらも「だからこそ撮れる身体性や表情があったので、伸びやかに居てくれて良かった」と。同時に他の子供たちにも内面の演出はほどんどしないで「動きをつけること、元気を出してもらうこと」が仕事だったと明かすが、「リハーサルをせず、いきなり本番でカメラを回しました。ただ、マイクを着けさせてくれなかったりメイクを直させてくれないなどなど大変なことはありましたが、それで〝収まりきらない生命力〟みたいなものが出たと思います」と。三 ロケ地・広島の印象を尋ねると、「とくに呉の広小坪には、グネグネした階段や坂道など不思議な形状の場所がたくさん見つかりましたね。外廊下のある学校、町を見晴らせる道なども魅力的でした」と絶賛。大人からみれば「ちょっと変」だけど思えば子供の頃は皆、そうだった。未熟だけど純粋だったはず。そして成長するほどに大事なものを忘れてきたような気がする…そんなことを考えながら観ると、斬新で、突拍子もなくて、それでいて心が震える、愛すべき映画だった。 物語は敢えて書かない。評はいたってシンプルで、深い―○C2022「こちらあみ子」フィルムパートナーズ※7月29日(金)からは広島バルト11でも公開される【良】
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