2022年9月
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ON THE BEACH14〔1959年=ユナイト配給/135分◆スタンリー・クレイマー監督〕手に入れた。艦長は故郷に残した妻子に思いを馳せながら、士官が紹介してくれた美女(エバ・ガードナー)とデートを重ねる。こうして「その時」が近づき、街では“特別な睡眠薬”の配布を開始、会場には「まだ時間はある」という横断幕がなびいていた…。 科学者は言う。「人類が自らを破滅させるほど愚かだったとは…武力で平和を守れると自惚れたのが発端だ。自分は痛い目に遭わずに(核兵器を)使おうなんて虫がいい話さ」と。他にも心に刺さる台詞が随所にあり、これが現実になりませんように―と祈るような気持ちになる。この作品を世界中の為政者、核のボタンを持つ者に観てもらわねば!。どんな場合も犠牲になるのは平凡な市民であり前線に送られる若者たちだから。社会派の名匠クレイマーが叫んだ警鐘に改めて耳を傾けたい。 設定は1964年1月、製作時から5年後の“近未来”―。遂に核戦争が起こり、北半球は壊滅状態に。潜航中だった米軍の原子力潜水艦が生き残り、豪メルボルンの港に辿り着いた。艦長(グレゴリー・ペック)は豪軍の求めに応じ若い士官(アンソニー・パーキンス)と科学者(フレッド・アステア)とを乗せ、北半球の被害状況を偵察に行くが、生存者は皆無、放射能もマックスに広がっていた。そして“死の灰”は南半球にも迫り、あと数カ月でオーストラリアも…。 人々は「その時」を覚悟しながら口に出さず、一分一秒を噛み締め生きる。膨大な量の貯蔵ワインを片っ端から開け、浜辺でバカンスに興じ、車好きの科学者は念願の名車を手に入れて無謀にも最後のレースに挑戦する。それでも皆、不安は募り、時に不毛な口論にもなった。士官は愛する妻と幼子が苦しまないよう“特別な睡眠薬”をFile No.57『渚にて』

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