2023年5月
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  先進七カ国首脳会議(G7サミット)が5月19日から被爆地の広島市で開催される。ぜひ「核軍縮・核廃絶への流れを生み出す歴史的な会議に」との期待が大きい半面「被爆地利用の《貸し舞台》に終わらせてはならない」との懸念の声も聞く。首脳会議議長を務める岸田文雄首相のリーダーシップが問われている。懸念その一―核保有国(米、英、仏)と同盟国(日、独、伊、カナダ、EU)の結束をアピールし、ロシアを非難するだけの会合で終わりはしないか(平岡敬・元広島市長)。それでは被爆地開催の意義はない。「首脳は原爆資料館に足を運び、被爆者の声に耳を傾け、核軍縮・核廃絶への一歩を印すサミットに」との要望が国内外で高まっている。その二―岸田内閣は反撃能力(敵基地攻撃能力)保有に踏み切るなど安全保障政策の大転換を図った。また日本政府は核兵器禁止条約(TPNW)に不加盟の姿勢。「ヒロシマ出身」を自負する岸田首相こそ、これら懸念払拭に努めてもらいたい。新聞紙上で取り上げられた「サミットに期待する」世界の識者の提言で『(核戦争で地球を)人類なき星にしてはならぬ』がひと際目を引く。核戦争の危機は目前に迫っている。この際、岸田議長はロシアなどにも働きかけて「核不使用への道を探るべきだ」との声もある。その三―「核発射ボタン」持ち込みの疑念。平成28年5月、オバマ米大統領が原爆慰霊碑を参拝したとき「核発射ボタン」を収めた非常用カバンを携行していたことを週刊誌がスクープした。今回参加の米、英、仏の核保有三カ国首脳はどう対処するのか。気になるところだ。G7サミット開催に当たって、広島では官民挙げての「県民会議」が発足、交通機関や道路整備など「おもてなし」の諸準備が進められてきた。特に高齢の被爆者には「これが最後の《ノーモアー・ヒバクシャ》訴えのチャンス」との思いがある。首脳会議は、それに応えてほしい。ねん け しゅのうかいぎ   十しるふっしょくきわこた広島開催の重みと懸念その二百十五首脳会議

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