しゅうその二百十六年収の壁労働意欲そぐ﹁税制度﹂配偶者の賃金収入が一定額を超えると、社会保険料や税の負担が発生し手取りが減少することを《年収の壁》という。政府が見直しを表明し注目を集めている。現行ではパートで働く人の年収が増えると、配偶者の扶養から外れて社会保険料を負担する必要がある。企業規模によっては「150万円」または「130万円」「103万円」が境になり、こうした《壁》を意識せざるを得ないのが実情。労働意欲低下の要因にもなっている。われわれは日常生活の中で、いろんな《壁》を抱えている。身近なところでは《夫婦の壁》、《親子の壁》や《友人・職場での壁》、《サークルでの壁》等々。最近では、共働き家庭が抱える学童保育の悩み《小一の壁》というのもある。人生は《壁》のオンパレードだ。そう、人生に《壁》が存在することを鮮明にしたのは医学者・養老孟司のベストセラー『バカの壁』だったと記憶している。人間が何かを理解しようとする時、ぶつかる壁が必ず存在する。養老先生曰く《それはバカな人と賢い人を分ける壁だ》とも。以来、様々な社会現象を《○○の壁》と呼ぶようになったことは周知の通りである。要は《壁》だと諦めてかからず、その原因を突き止め新たな生き方を探ることにある。いや、そうではなく「人生には、何事も越えがたい壁(限界)があるということを認め、理解するべきだ」などと《バカの壁》の解釈や受け止め方は多様。人それぞれである。われら昭和世代は、戦争体験を経て民主主義と平和の有難さを身に染みて感じている。《歴史の壁》を乗り越える日本人としての賢い選択があったということだ。今は衣食住足りて「人口減少時代」の到来。なお核戦争の危機に直面している。今、何を選択すべきか―。間違いなく《時代の壁》を克服することが出来るかどうか。それら「歴史の評価」は、後世に委ねたい。ようようろうたけいわあきらゆだ ふねんのかべ し 十
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