是枝裕和監督の最新作『怪物』が6月2日から八丁座などで公開される。先ごろカンヌ国際映画祭でプレミア上映され拍手喝采を浴びた。八丁座のマスコミ試写会で本作品がベールを脱いだので、詳報する。住宅地。ある夜、近くの雑居ビルの火事をベランダで見ていたシングルマザーの麦野早織(安藤)は、11歳の息子・湊(黒川)の口から思いもせぬ質問をされる。「豚の脳を移植した人間は、人間?の保利先生(永山)から言われたのだという。そういえば最近、湊の靴の片方が無くなったり、水筒に泥水が入っていたり…。そんな時、帰りが遅い湊を探し回ると、廃線跡の森のいまや〝世界的な名匠〟となったコロナ禍で長らく自粛状態だった目の前に大きな湖、背後には深い森を抱えている某郊外の豚?」―学校で担任トンネルに居て「かいぶつ、だーれだ」と誰かに呼びかけていた。早織の車に乗せられた湊だが突然ドアを開けて飛び降りた。幸いケガは軽く脳にも異常はなかった。だが、湊は涙ぐみながら保利先生から「湊の脳は豚の脳と入れ替えられたんだ」とからかわれた―と告白する。翌日、早織は学校に押し掛け息子がモラハラを受けたうえ保利先生に殴られて鼻血を流した―と訴えた。が、伏見校長(田中)は沈痛な面持ちで黙ってメモをとるだけで、謝罪の言葉もないまま、正田教頭(角田)にあとを託して帰宅する。先日、夫の運転する車に轢かれて孫を亡くしたばかりだというのだ。再度、学校に赴いた早織は保利の謝罪を受けるが、嫌々ながらの表情で「誤解を生むことになって残念」と言うだけ。伏見校長も「教員の手かいぶつだ〜れだ!?安藤サクラ・永山瑛太・黒川想矢・柊木陽太・高畑充希・角田晃広・中村獅童・田中裕子脚本=坂元裕二/音楽=坂本龍一/プロデュース=川村元気・山田兼司特集特集カンヌ国際映画祭で拍手喝采 是枝裕和監督最新作『怪物』 二羅生門」構成で炙り出す現代社会の“かいぶつ”
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