その二百十七人工知能﹁人類と共存﹂の道探れゆくえもろおくうかがば つるぎかしこは「AIの活用・規制」について論議〝利用者の指示に基づいて〟文章や画像や音声などを生成できる対話型「人工知能(AI)」の行方を懸念する声が高まっている。米国生まれの「チャットGPT」や中国式の「生成AI」などは《核兵器以来の発明。チャットGPTは人類の〝神〟か〝悪魔〟か》と週刊誌が啓発記事を特集。新聞やテレビでも開発の規制や自粛を促す報道が相次いでいる。国や自治体でも教育面からの対応策などを検討する動きが出始めた。金沢市での「G7教育相会議」でされた。採択した共同宣言は「生成AIの活用は学習面に好機をもたらす一方で課題も多い。継続的に課題を掌握しリスクを軽減する重要性を認識する」との内容。急速な事態の進行に戸惑いが伺える。ネット空間に突如として現れたこの「文明の利器」は今までにない利便性を備えるが、使い方を誤れば人類を滅亡へと導く「諸刃の剣」となりかねない。ただ、日本はこの分野では欧米に後れを取っている。自治体でも議会答弁書や広報資料の作成に導入している横浜市、禁止している鳥取県など対応は分かれている。また、学生のレポート作成への利用を禁止する大学も増加。一方で「時代に遅れるな」とばかり音楽や映像分野などでは、活用に踏み出す企業が増えているようだ。最近のテレビ放送でも「AIの自動音声によりニュースをお伝えします」(NHK)と、告知するケースも見られる。「AIによる」と出所を明示することは報道倫理にかなう手法で、視聴者の信頼度の参考になる。AI活用についての法規制(禁止)ばかりを検討するのではなく「AIとの共存社会」実現への国際ルールづくりを急ぐべきだろう。人工知能が「人間の考える力を劣 じんこうちのう 化させ、人の仕事を奪う日が来る」と心配する声も聞かれる。だが、世紀の「文明の利器」をどう味方につけるか。賢い選択が望まれる。十四
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