2023年9月
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も6Rome Adventure〔1962年=ワーナー配給/119分◆デルマー・デイビス監督〕という、観光案内を兼ねた恋愛指南映画なのだが、デイビス監督の“仕掛け”が心憎い。 そのひとつが音楽。マックス・スタイナーのテーマ曲も素敵だが初デートのレストランでサンレモ音楽祭の優勝曲『AL DI LA』をエミリオ・ペリコーリの歌、別の店でアル・ハートのトランペットで聴かせ恋の予感を盛り上げた。またドンが元カノに呼び出された豪邸には名曲『To Love Again』がバイオリン演奏で流れていた。 そして何よりドナヒューと新人プレシェットの美男美女コンビが素敵で、吸い込まれそうな美しい瞳にウットリ…。実はこの二人、共演の翌年に結婚したが、一年も保たなかった。美男美女すぎてはかえって難しいのかと、平凡な男は少しだけ安心したものだ。美女プレシェットはハリウッド史上で最高の美貌だと今も思っている。※デイビス監督とドナヒューは大ヒット作『避暑地の出来事』(59)でもタッグを組んだFile No.69 「ひと夏の恋」の思い出にひたる季節にぴったりの作品をご紹介。アカデミー作品賞、脚本賞などにノミネートされた秀作『邂逅』(39)後の『めぐり逢い』(57)など多くの脚本を手掛け、自ら製作・監督もこなす名匠デルマー・デイビスの代表作の一本。 名門女子大の司書プルーデンス・ベル(スザンヌ・プレシェット)は禁書『Lovers Must Learn』を学生に貸したとして呼び出されるが、自分の本であり、愛の渇望を描いた名著だと反論、辞表を叩きつけてイタリアへ“恋愛修業”の旅に出る。船中で伊達男のロベルト(ロッサノ・ブラッツィ)と親しくなり、ローマで伯爵夫人が営んでいる豪華な宿を紹介される。そこには失恋に悩むアメリカの留学生ドン(トロイ・ドナヒュー)がいた。プルーデンス(慎ましいの意)は彼の案内でローマ中を、さらにはイタリアの名所を巡る旅に出る…『恋愛専科』

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