じぎゃくせいすいづらうつわ そろ し!?』(鈴木士郎、昼間たかし編・最近、気になる本がある。『これでいいのか広島県―もう自虐は必要なマイクロマガジン)という思わせぶりなタイトルだ。呉、三原などの衰退に対し躍進する学園都市・東広島や安芸・備後の国の盛衰と今後の進むべき道を示唆していて興味深い。幾つか紹介してみよう。《衰退著しい呉が抱える問題》《人口増、西条(東広島)は若者の街に》《移住者増の尾道人気の秘密》《ただの地方都市なのに都会人面する広島市民》―ほか。 戦前から軍港として栄えてきた呉市の地盤沈下が新聞、テレビで連日伝えられる。9月末で日鉄呉が鉄鋼製造七十二年の歴史の幕を閉じた。戦後も進駐軍や海上自衛隊などが駐留。近年は戦艦大和の記念館「ヤマトミュージアム」など軍都の名残りが伺える。だが戦後、平和を希求する国内外の社会情勢の中で「逆風のあおりを食った」とする見方も少なくない。対照的なのがお隣の東広島市だ。広島大学の移転により、広島や福山に次ぐ人口二十万近い学園都市に成長。酒都として国の研究機関もありさらなる発展の期待が膨らむ。そんな中、昔と変わらぬ魅力を保持しているのが尾道市。「移住してみたい」地域の「ナンバー1」に。歴史豊かな街並みや島々などに囲まれた環境。四国と結ぶ「しまなみ海道」の立地などが魅力となっている。広島市と岡山市は「中国地方の雄」を競ってきたが、広島市がリード。ただ広島には「その器」が揃っていない。希望は進行中の「広島駅周辺開発」である。広島駅構内への市電乗り入れ、駅北地区への医療機関の集中、加えて都心部の再開発など目白押し。外観は「中国地方1」の大都市に生まれ変わるだろう。課題は、われわれ広島市民がそこに住むにふさわしい「都会人」に成長できるかどうかにかかっている。じゃくその二百二十一広島今昔時代を映す都市の盛衰 ◇ひろしまこん 八
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