2023年12月
9/14

しあわせ6Pocketful of Miracles〔1961年=ユナイト映画/136分◆フランク・キャプラ監督〕File No.72 人情喜劇と人間讃歌を描かせては天下一品のフランク・キャプラが自作『一日だけの淑女』(ʼ33)をリメイクした逸品。 禁酒法下の大都会ニューヨークでブロードウェイを縄張りに伸し上がった親分のデュード(グレン ・フォード)は、貧しい老婆アニー(ベティ・デイビス)からリンゴを買うことで幸運をもらっていると固く信じていた。 そのアニーは幼い娘ルイーズをスペインの修道院に預け、自分は高級ホテルで暮らす貴婦人だ―と偽ってきた。ところが、ルイーズ(アン・マーグレット)がロメロ伯爵(アーサー・オコンネル)の子息と結婚することになったので挨拶のため3人でニューヨークに来ると知らせてきたのだ。真相がバレては娘の縁談がダメになると悲観してアニーは酒浸りになる。事情を知ったデュードは彼女からリンゴを買えなくなっては一大事と頭を抱え、恋人クィニー(ホープ・ラング)の機転もあって莫大な金と人脈を駆使しアニーを貴婦人に仕立ててやる。さらには遊び人のブレイク判事(トーマス・ミッチェル)を“夫”役に、子分や踊り子を紳士淑女役に起用。 折しもデュードはシカゴの親分から縄張りを寄越せと迫られるわ伯爵の取材に走る新聞記者たちにアニーの素性を探られるわ…と、てんやわんやの中で“作戦”が進むが、この騒動を嗅ぎ付けた警察にデュードが捕えられる。アニーは娘の婚約披露パーティーが近づく中、観念し告白しようとするが、その寸前に奇跡が起こる…。 序盤はギャング映画テイスト、やがてドタバタ喜劇で、ラストは泣かせる超感動作。名優ピーター・フォークがとぼけた筆頭子分を好演してアカデミー助演男優賞にノミネートされた。『ポケット一杯の幸福』

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る