※“十八番”は往年の映画主題歌のスタンダードナンバーぜにばこおふゆましけからすまFile No.75 八代亜紀さんが亡くなった…。訃報に接して最初に思い浮かんだ代表曲は『舟唄』―若い頃カラオケで何度も歌った“十七番”※だ。 その『舟唄』を効果的に使った作品がこの『駅 STATION』である。主人公の三上英次(高倉健)は五輪の射撃選手でもある警察官。その仕事柄に加え、五輪の強化合宿で家を空けることが続いたため妻の直子(いしだあゆみ)とは離婚することに。雪の銭函駅ホームで直子は涙を溢れさせながらも作り笑いで敬礼し、別れを告げる…。 間もなく検問中の上司が警察官連続殺害犯人に殺されたことから英次は五輪出場を諦め捜査に専念したいと申し出る。 それから10年ほど、英次は妹・冬子(古手川祐子)の結婚式のため故郷・雄冬に帰る。彼女は愛する人でなく伯父の勧めた見合い相手6〔1981年(昭和56年)=東宝/132分◆降旗康男監督・高倉健主演〕との結婚を選んだが、その白無垢姿は美しく、晴れやかだった。 その頃、赤いミニスカートの女だけを狙う通り魔を追って、英次たちは増毛で張り込む。容疑者は吉松五郎(根津甚八)―。その妹・すず子(烏丸せつこ)が駅前の風待食堂で働いており、連絡をとると睨んでの捜査だ。彼女は暴走族のリーダー雪夫(宇崎竜童)の愛人で秘かに堕胎する。尾行中にそれを知った英次は傍若無人に振る舞う雪夫を叩きのめしたのをきっかけに捜査協力を得る。すず子が雪夫と結婚すると五郎に連絡するよう仕向け、誘き出そうというのだ。案の定、五郎は上砂川駅に現れて張り込んだ警官に逮捕された。 三年後の暮れ、狙撃班に入った英次は立て篭り犯を射殺―。自宅に帰ると、吉松五郎からの手紙が届いていた。翌朝には死刑が執行『駅 STATION』
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