2024年4月
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 アカデミー賞発表の季節に必ず思い出す作品。なにせ史上最多の11部門でオスカーをとったのだ。あとは主演&助演の女優賞と脚色賞をとればパーフェクトだった。ちなみに『ウエスト・サイド物語』は10部門+名誉賞だし、『ロード・オブ・ザ・リング〜王の帰還』と『タイタニック』は11部門ながら演技部門は1つもとれなかった。なので『ベン・ハー』はアカデミー史上最高の作品である。 冒頭に「A Tale of the Christ」とあるように、その「誕生から受難と奇跡まで」を軸にした宗教映画だが、その周りにユダヤ王族一家の激動の物語をたっぷりと絡ませ見応え満点の歴史スペクタクル劇に仕上げている。 馬小屋で救世主が生まれて26年後、イスラエルの都エルサレムにローマ帝国の新任司令官メッサラ6〔1959年=MGM映画/212分◆ウィリアム・ワイラー監督〕Ben-Hur(スティーブン・ボイド)が赴任し旧友でもある豪族ジュダ・ベン・ハー(チャールトン・ヘストン)と再会を喜ぶ。が、メッサラは統治強化に協力してくれと切り出し、友情は決裂してしまう。 直後、新総督着任の行列にハー家の屋根瓦が落ちて総督が負傷、メッサラは懲罰にとベン・ハーを奴隷船に送り、その母と妹を牢獄に監禁する。ベン・ハーは手足鎖で曵かれる途中、“不思議な若者”に水を飲ませてもらった…。 軍船で過酷な櫓漕ぎに耐え続け3年、大規模な海戦で総司令官のアリウス(ジャック・ホーキンス)の命を救ったことからベン・ハーは鎖を解かれたうえ、英雄としてアリウスの養子として迎えられ、紋章入りの指輪を託される。 帰郷する途中、アラブの大族長イルデリム(ヒュー・グリフィス)File No.76『ベン・ハー』

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