▲「スクリーン」昭和31年3月号の広告▲寿座でもらったポスター/裏面はプレス用の解説資料7CINEMAD見つけるが、サムが男を殺した。ここから事態は一変、バード警部たちは秘かに家を包囲する。夜、シンディの恋人チャック(ギグ・ヤング)が電話でデートに誘い、彼女を救出する…。 悪漢3人の性格の違いからくる対立と、家族の絆に裏打ちされた思いやりの微妙なズレ、頼り甲斐のある父親…。加えて拳銃や車、自転車、ドアといった“小道具”がもたらすサスペンスの連続など、最後まで気の抜けない展開に手に汗握り、心拍数が上がる。久々のギャング役に凄みが増したボギーと、善良な父親役を見事に演じたマーチの演技合戦も見どころ。 ラストは衝撃的な銃撃戦で、後のニューシネマの秀作『俺たちに明日はない』に繋がったようだ。見終わって半ば放心状態になり、劇場の事務所に駆け込んだ。小生は興奮して「凄い映画でした!。でも知らない人ばかりで…。何か資料はありませんか?」と言うと支配人は「明日が楽日だから表のポスター兼解説書を剥がしておくので取りにおいで」とニッコリ。もちろん翌夕、学校から直行して資料をもらい、むさぼり読んだ。監督のこと、俳優のこと諸々を。思えばここから本格的な映画狂歴が始まったように思う。そういう意味でも記念碑的な秀作だ。最後の最後、ダンのさりげない仕草に心が温まる。さすがワイラー!
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