に続く錦織良成監督作は、大使館員の奮闘を描いた『ミラクルバナナ』。在外公館の派遣員・三島幸子(小山田サユリ)は赴任先を楽園「タヒチ」と聞いて喜ぶが、着いたのはカリブの最貧国ハイチだった。前向きな彼女は、バナナの木から紙を作ることが出来ると知り、現地の人たちの収入源に―と普及に奔走するという話。だが、映画化は簡単ではなかった…と錦織監督は振り返った。十分ではないのに、現地の人たちは実に明るく、「交通事故で一万人も死に、自殺者が三万人もいる先進国・日本の人たちは可哀想」と言われ励まされたという。撮影隊のことを考え、〝より安全な〟隣国ドミニカでロケした。多くの困難をスタッフやキャストの頑張りと情熱、物語への愛情で乗り越えた。紙漉き職人役の緒形拳の〝役者魂〟と名演にも背中を『白い船』『ハート・オブ・ザ・シー』政情不安の中で生活インフラさえがい稲な田だひ比めの売みこ命とと結婚して、この地に押されたと話す。こうして完成した作品は爽やかな感動を呼び、ヒットしたのは言うまでもない。 二次に手掛けたのは、〝しまね映画〟第二弾『うん、何?』―。神話の里、たたら製鉄の発祥地として知られる雲南市エリアを舞台にした青春映画だが、その故郷愛は半端ではない。あの八やま岐たの大おろ蛇ちを退治した須すさ佐のお之の男みこ命と宮を造り新婚生活を送ったという。それが須我神社で、「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに…」と詠んだこともあり和歌発祥の地とも言われる。﹃ミラクルバナナ﹄の公開キャンペーンで来広した錦織監督特集特集=広島キャンペーン回顧録=錦織良成監督の足跡 〔3〕ふるさとの宝」テーマに歴史と文化を掘り起こす
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