2024年6月
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とがてい      いそうろうThe Children's Hour〔1961年=ユナイト映画/109分◆ウィリアム・ワイラー監督〕 カレン(ヘプバーン)とマーサ(シャーリー・マクレーン)は学生時代からの親友で、名門の寄宿制女学校を共同経営している。生徒は良家の子女ばかりだが、中にはワガママで保身のために嘘をつくメリー(カレン・バルキン)のほか盗み癖のあるロザリー(ベロニカ・カートライト)など問題児が…。地元の有力者ティルフォード夫人(フェイ・ベインター)はメリーの祖母であり、夫人の甥で医師のジョー(ジェームズ・ガーナー)はカレンの恋人。マーサの叔母で元舞台役者のモータル(ミリアム・ホプキンス)は学校を手伝ってはいるが、体のいい居候だ。以上が主な登場人物である。 ある日、メリーの嘘をカレンが咎めると少女は泣きながら祖母の元へ逃げ込む。夫人が理由を問い詰めると、メリーは何んだかんだ 歴史スペクタクル大作『ベン・ハー』、ギャングものサスペンスの傑作『必死の逃亡者』に続いて名匠ワイラー監督の社会派問題作も紹介しておきたい。 『ローマの休日』で見出した新人オードリー・ヘプバーンを一躍、スターダムに押し上げたワイラー監督が、再び彼女を主演に撮ったのは、当時はまだタブー視されていた同性愛を題材にしたリリアン・ヘルマンの小説『子供の時間』の映画化。実は戦前にも挑戦したが検閲で大幅にカットされ、三角関係の物語『この三人』(1936)として公開された。そして今回は、「性的倒錯を禁止」とする業界に抗議した末、「慎重、抑制を条件に性的逸脱を認める」と改正され、その第一号作品となった。お固い英国では『The Loudest Whisper』(うるさい囁き)と改題され…。6File No.78『噂の二人』

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