2024年7月
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小誌でも紹介してきた菊島隆三の遺稿『広島の二人』が、『白い船』や『高津川』などのヒューマンな作品で人気の錦織良成監督の手で映画化されることが正式発表された。   四    手掛けた脚本家・菊島は1966年に〝ヒロシマ〟を題材にした準備稿を書いたが、当時の映画会社は製作を『アフリカ物語』(ʼ80/羽仁進監督)で監督補と総編集を手掛けて才能を認められた保坂延彦氏の初監督作にと菊島と保坂の共同補作で映画化案が持ち上がったが、所属の大手企業は社風に合わないからと再びボツ、監督第一作は菊島脚本の『父と子』で実現したが、『広島の二人』を保坂監督に託して菊島は逝った…。と後日談の小説とを合体させた著書や朗読劇で菊島の思いを繋いでいた時、〝奇跡的な出会い〟からシナリオ改訂版が錦織監督の手に渡った。躊ため躇らって映画化はボツに…。やがてかつて多くの黒沢明監督作などを保坂監督はシナリオ『広島の二人』これまで主に故郷・島根を舞台に感動作を発表してきた錦織監督だが「いつかは〝ヒロシマ〟を描きたいと思っていた」と映画化を決意、原作著作権を持つ保坂監督と話し合いを重ね、被爆80年のタイミングで製作すべくプロジェクトを立ち上げた。その製作発表記者会見で保坂監督は「菊島先生から託されたものの、映画化できないまま四十年余り…。やっと肩の荷が下りて、菊島先生の墓前に報告ができます。錦織監督は〝思い邪なし〟の人―。全てお任せして完成を待ちます」と。また〝幻の企画〟を託された錦織監督は「バトンを受け取り、責任の重さを感じています。ご縁があってこの台本が届いた運命を感じながら今だから撮れる映像にしたい。ぜひ製作にご協力を!」と熱く語った。今後、ロケハンやキャスティングなどを進め、来年クランクインし、再来年の完成を目指す。速報名脚本家・菊島隆三が遺したシナリオ『広島の二人』を錦織良成監督が映画化よこしま製作発表記者会見で映画化への思いを語る保坂延彦監督(左)と錦織良成監督(中)〔6月26日=広島商工会議所・会議室で〕

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