▲公開時のパンフレットとどしようと機会を狙ってきたのだと明かす。耐えかねた母マチルダはケルシーの口を封じるために馬の尻を叩いて絞首刑にする。ゼブはザカリー家と絶縁を宣言。 孤立した一家の中でキャッシュはレイチェルを引き渡せと主張、ベンの猛反対を受けて家を出る。間もなくカイオワ族の大群が押し寄せ、家を包囲して攻撃する…。 西部劇の多くは“インディアン”が悪者で、襲撃を受けた開拓民を騎兵隊が救う―というパターンの物語が主流だった。そのうち白人の赤ん坊が誘拐されて育てられ、それを救出するという物語も登場した。この作品はその逆である。そもそも、コロンブスたちが辿り着いた大陸をインドだと勘違いし先住民を“インディアン”と呼んでいたわけで、ヨーロッパ各国から移住して来た白人たちは先住民を“居留地”に追いやり、図々しくも自分たちの「新天地を開拓」してきたのだ。それを反省したのか、“インディアン”を悪者扱いにした作品は次第に姿を消した。そんな過渡期に作られた悲劇の物語で、終盤の「最後の銃声」が切ない。 ランカスターは『ヴェラクルス』『OK牧場の決斗』などガンマン同士の対決を描いた西部劇の秀作に出ているが、後年はヒューマンドラマや社会派の傑作、さらには名匠ルキノ・ビスコンティの秀作などにも出演。そして1972年には“インディアン問題”に止めを刺す『ワイルド・アパッチ』に主演、追い詰められたアパッチ族の最後の反撃事件を史実に沿って再現し悲劇の歴史を世に問うた。 こうして終焉を迎えた痛快活劇西部劇はニューシネマ以降、青春や男の挽歌を描く題材になった。7
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