2024年8月
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4◆7月号の《速報》でお伝えしたように、映画『広島の二人』の製作プロジェクトが動き出しました。今年2月号からずっと関連記事を載せてきましたが、これで小生も広報企画“応援団長”として堂々と本格的に動き始めます。◆数多くの黒沢明監督作品で橋本忍、小国英雄と脚本を執筆、後年は黒沢プロを立ち上げて製作者としても腕を振るった菊島隆三先生が1966年に書いた『広島の二人』準備稿は、対米忖度時代のためか幻の企画に終わりました。◆それから15年ほど、『アフリカ物語』(羽仁進監督)の監督補と総編集を担当した新鋭・保坂延彦を見込んだ菊島先生は監督第一作にと『広島の二人』を提供したものの時代の“風”はまだ吹かず、企画はまたも幻になりました…。◆菊島脚本『父と子』でデビュー、続いて菊島版『国士無双』で世に出た保坂監督ですが、幻の脚本を託されて間もなく菊島先生が他界され、「重い荷物を背負った…」と保坂監督は振り返ります。◆物語は、架空の「安芸の浦俘虜収容所」から米兵アーサーが脱走し、副官の藤田軍曹が追います。列車に飛び乗り、山道を突っ走りとサスペンスたっぷりの痛快作、終盤で原爆に対するメッセージを刻み込んだ作品です。◆保坂監督はこの脚本に加えて、藤田軍曹の娘ミツ子の物語を小説にしてドッキングさせた単行本を2020年7月に出版、「これで勘弁してください…と菊島先生に掌を合わせた」と明かしました。更に朗読劇『ミツ子の物語』も執筆し、公演を重ねておられます。◆ここから奇跡の連続が起こって映画化の話が進みます。単行本の出版社の営業本部長が広島出身で偶然、名刺交換の機会があったのですが、小生は「映画手帖」時代、『父と子』の公開時に保坂監督と初主演の中井貴一さんが編集室へお越しになったのでインタビューしていました。奇遇でした。◆次は昨年11月、食と農の映画祭で『高津川』が上映され、錦織良成監督と安川唯史プロデューサーが

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