2024年8月
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言葉に飾りなどなく、直後に社長の座を後進に譲り、プロデューサー業に専念することを決意。錦織監督が描いた〝バタデンの世界〟は一人の大映画人の人生をも変えたのだ。どうしてもバタデンに乗りたくなり再び読者ツアーを実施した。ロケで調整役を務めた一畑電車の石飛貴之課長が特別ガイドとして同行、雲州そんな魅力的な感動作を観たら、平田駅では撮影裏話を聞きながら「デハニ50形」に乗車したり、記念撮影したり。ラストシーンが撮影された一畑口駅でも裏話を聞き、主人公の実家として撮影に使われた常松邸に伺うと、安川唯史プロデューサーが合流、事前手配で常松氏がキュウリを冷やして待ってくださり参加者一同は感激の極み!。そう、邸宅の前に例のキュウリ畑が広がり感動のシーンが蘇ったのだ。参加者全員でキュウリをかじりながら記念撮影し、表紙に載せた。   三松江しんじ湖温泉で一泊し、翌日は名作『白い船』のロケ地めぐりも敢行した。あの塩津小学校も、港町も映画のままに残っていた。聞けば十年近く経っても観光客のみならず学校関係者らの視察が後を絶たず、生徒が減っても廃校できない…。ツアーを通して現地の魅力にふれ錦織監督が熱弁する「美しい風景の魅力」が理解できたように感じた。少し不便かも知れないが、のどかな田園風景や自然の恵み、そよぐ風、人々の温かい思いやりのある会話…そこに身を置く心地よさ…。そこをもし〝再開発〟などしようものなら故郷の魅力は半減どころか絶滅することになるのだ―と。 

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