2024年9月
3/14

 ロケでは、土俵造りから夜通しの取り組みまでを忠実に再現するため島民ら最大四千人ものエキストラが参加、十日がかりで撮影したのだが皆〝手弁当〟をいとわないばかりか婦人会など三百人が地元の魚介類や野菜、米などを調達して夜食作りの大ケタリング用テントが張られた。文字どおり本気の古典相撲大会が撮れたのだ。 作品は、モントリオール国際映画祭に出品されたがコンペティション部門では高倉健主演『あなたへ』に栄冠を譲ることに。しかし海外の評論家は「クロサワのような、こだわりのあるクオリティの匂いがする」と絶賛されたという。 その『渾身』から七年後、錦織監督は再び隠岐を舞台に感動作『僕に、に〝島留学〟して来た三人の若者で、それぞれに夢や希望、そして悩みを抱えている。教師や〝島親〟となった家族はもちろん、島の人々が総出で面倒をみてくれるうえ、大自然までもが心を癒してくれる。 東大医学部を目指す秀才・雄一を案じて教育ママが様子を見に来るが雄一は大丈夫だと前置きして「ここでは独りにしてくれないんだ…」と言う場面が印象的だった。つまり、島全体が一つの家族で、皆が互いに助け合い、支え合い、励まし合い、成長していく―。厳しい大自然の中で、本土と離れた島々で生きていくための「心の伝統」かも知れない。嗚呼、《島留学》が全国に広がれば、日本は、世界は幸せになれるのに…そんな愛情あふれる秀作だった。主会人い公たとかなっるた』(のはʼ19県年立)を隠紡岐い島どうだ前ぜん―高。校三

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る