せりふうたうたげかなくや7メロメロになった。ちなみに筆者はオリビアと同い年で、ポスターや映画雑誌のグラビアに見とれてタメ息をついたものだ。 とはいえアイドル映画ではなく舞台演出家出身ゼフィレッリ監督による正統派シェイクスピア劇で中世英語そのままの台詞まわし、往時そのままの古い街でのロケと全てに完璧な出来映えだ。英米伊の多くの映画祭で作品賞、監督賞のほか撮影、音楽、美術、衣装など多部門にノミネートされ、受賞。個人的にはニーノ・ロータによるテーマ曲が美しく、序盤で二人が出会う宴で吟遊詩人が歌う主題歌は青春や恋の美しさと儚さを甘く謳い上げたほか、変奏曲が随所に流れて雰囲気を盛り上げた。 ところで、オリビアは1971年に大物ディーン・マーティンの息子と結婚し、世界中のファンの心を打ち砕いた。その後、離婚したが80年にはカネボウ化粧品のCMに出演して日本のファンを喜ばせた際、そのテーマ曲『君はバラより美しい』を歌った布施明と電撃的に結婚、われわれ世代は悔し涙に暮れた。そんな“悲恋”と共に今も心に残る愛の物語というわけ。 そうだ、原作に忠実な台詞だと書いたが、重厚なナレーションは名優ローレンス・オリビエによるもの。イギリス英語の美しさにも酔いしれたと言えば言い過ぎか。レオ様の96年版は、舞台を現代のベローナに移しながらも、台詞は古い言い回しのままで演じたのが強烈な印象を残した。このほかに“現代版ロミオとジュリエット”としてニューヨークの下町を舞台にした名作『ウエスト・サイド物語』も合わせて観て欲しい。やっぱり初恋は叶わぬものなのか…。
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