2024年11月
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で《しまね映画塾》を開催してきた錦織良成監督は、十三年ほど前に県西部の益田市に招かれ塾を開いた。交流は続き、益田をはじめ石見地域の魅力にふれた錦織監督が最も心を惹かれたのが「日本一の一級河川」だった。ダムが一つもないことで、源流から下流まで澄んだ水が流れている…その流域に暮らす人々を描く感動作『高津川』を撮った。伝統を受け継ぐ…。若者たちは都会に憧れて町を出ていき、一方で自然の恩恵を堪能できる生活をしたいと移住者は増えている…。映画の冒頭「毎日を何気なく過ごしていると、足元にある小さな幸せに気付かないものだ」という独白がある。また、老人が「人がおらんようになって、山が荒れ、畑も田んぼも荒れ果てる…そうすると川も汚れて鮎もいなくなる…いつしか都会も成り立たなく秀作『白い船』をきっかけに地元大自然に囲まれた生活を守り続けなる―頭がいい者なら判るはずだがのう」と嘆く。そして主婦の一人が「みんな今、オーガニックだ無添加だ言うとるけど、ここじゃあ昔からそれが当たり前じゃけえね」と。そう、これは石見地域だけの物語ではなく、日本中、世界中の〝地方〟の物語だと錦織監督は力を込めた。これが何と映画初主演の甲本雅裕だが、かつて錦織作品『うん、何?』    二完成披露会見で作品への思いを語る錦織良成監督(左)と、初主演作でも渋い演技を見せた甲本雅裕(右)〔2019年11月7日=八丁座カフェで〕特集特集=広島キャンペーン回顧録=錦織良成監督の足跡 〔8〕日本一の清流域で暮らす人々の思いが滲む感動作

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