予想を超える展開をみせるクライム・サスペンス『ゴールド・ボーイ』(3月8日公開)の金子修介監督(写真右)と、13歳のヒロイン夏月を演じた星乃あんな(左)がキャンペーンで来広した。この作品は中国のベストセラー小説を翻案映画化したもので、冒頭でいきなり犯行の一部始終を見せ、偶然にその現場を動画で撮っていた少年少女が犯人を脅迫するところから始まる。
金子監督は、「予測のつかない展開が面白いけど、なにしろ中国でしか通用しない地域性とか貧富の差からくる競争意識が苛烈な社会でしか成り立たない物語。プラス、こういう犯罪が起こったら日本ではメディアが、週刊文春が放っておかない(笑い)。それをどう日本の物語にできるか―を、長年信頼している脚本家の港岳彦さんと相談しました」と話す。
原作では冒頭の犯行は山の観光地が現場で、急峻な崖で行われるが日本では見当たらない。そこで海、地域性がある沖縄か―と設定を大きく変えて脚本を書いた。また中国ではドラマ化されていて、「これは12話まで作られていて参考にならない。プロデューサーからは2時間でやって欲しいとプレッシャーをかけられて、いかに凝縮していくか…。それでも“間”が欲しい芝居もあって…」と苦笑する。
犯人役の岡田将生をはじめ、黒木華、江口洋介、北村一輝、松井玲奈など実力のある役者が揃う中、星乃と羽村仁成、前出燿志の若者3人が好演している。オーディションで選んだが、3人とも“一色”じゃない感じが選考基準。「3人とも傑出していると思った。でも、全員での読み合わせは1回しかできなくて、3人には大人の相手には代役を立ててリハーサルを綿密にやりました。立ち稽古では動画を撮って、その都度3人に見せて“どう見えるか”を自分たちで考えて、また芝居をする…という方法をとった」と明かす。
星乃は「台詞があまりない役だったので、感情を表すのがけっこう難しかったけど、表情で感情を表せるよう頑張りました。最初の登場シーンは、ちょっと緊張気味に、周りを気にしながら…という設定で難しかったです。良かったのは、映画館で言い合いするところ。けっこう長めの場面だったんですが、台詞も噛まなかったし、監督がモニターを見て誉めてくださってホッとしました」を笑顔をみせた。
最後まで二転三転する展開に引き込まれるが、終盤で星乃と羽村とがデートするシーンに、マーラーの第五番が流れる。そう、『小さな恋のメロディ』かと思いきや、『ベニスに死す』なのだ!。結末を予感させる演出だが、金子監督は「港さんの台本に最後だけマーラーを流すと書いてあったんですが、何度も聴いていると物語と合ってきて、編集ラッシュの時にデートのシーンでも流すとピッタリきたので」と満足げな笑みを浮かべた。