映画・TV新着情報

「サロンシネマ」が9月20日に“生まれ変わり”

 ビルの老朽化で8月末に閉館するタカノ橋の「サロンシネマ」が9月20日(土)、生まれ変わって八丁堀に新しく「夢売劇場サロンシネマ1・2」として誕生することが決まった。
新サロン56イス 劇場名は一時、別の名前に決まっていたが、多くのファンから「これまでのイメージを残して欲しい」という声が寄せられたため、「42年前のオープン時の精神を思い起こし、原点に戻って映画ファンのための劇場を新しい気持ちでゼロからスタートしたい」ーと蔵本順子社長が決断、ロゴマークを刷新して
“リニューアル”することに決めたと言う。
 場所は旧「広島東映・広島ルーブル」のあった東映プラザビル8階。1階の専用エレベーターホール壁面には名作『東京物語』『タクシー・ドライバー』『ジョーズ』『アメリ』のイラスト(「キネマ旬報」などで活躍の宮崎祐治氏作/新ロゴマークも)をあしらい、映画の世界へと誘う。8階ロビーは、喫茶スペースとチケット売り場を配するが、デザインは「八丁座」も手掛けた広島出身の映画美術監督・部谷京子氏。往年の“活動写真館”をイメージした洋風の内装を施す。場内には、元祖「サロンシネマ」の特注イスをベースに、朱赤のレザーを張ったマルニ木工製の豪華で座り心地のいいイスを配する。席数は「1」が125席(旧広島東映は258席)、「2」が91席(旧広島ルーブルは178席)と、ゆったりした設計。最後列の一部には掘りごたつ式の席も設ける。さらにスクリーンもひと回り大きくしたうえ、最新のデジタル映写・音響システムを導入する。また、スクリーン横には可動式の“弁士台”を設けて、上映前に劇場スタッフが作品の紹介に立つという趣向も加え、「世界最高の“おもてなし”をする劇場にします」とも。新サロン67発表
 ちなみに“杮落とし”は、『バツイチは恋のはじまり』(パスカル・シュメイユ監督/ダイアン・クルーガー主演)、『グレート・ビューティー
〜追憶のローマ』(パオロ・ソレンティーノ監督/トニ・セルビッロ主演)、『プロミスト・ランド』(ガス・バン・サント監督/マット・デイモン主演)を予定している。
※写真上=新しいイスをお披露目する蔵本順子社長/下=新しいロゴマークと“壁画”の原画を紹介する部谷京子氏(左)と蔵本社長

問題作『あいときぼうのまち』1週間限定公開で急きょ舞台挨拶

 福島を舞台に、昭和20年から現代まで“原子力”に翻弄された三世代の家族を描いた問題作あいときぼうのまち8月2日(土)からサロンシネマで1週間限定公開される。これに合わせて、同作品の脚本家・井上淳一と広島出身の俳優・沖正人が舞台挨拶する。あいときぼうのまち TS
☆昭和20年4月、福島県石川町の山奥で、国と軍部が秘かに研究開発している新型爆弾に使うウランを得るため、学徒動員された中学生・英雄(杉山裕右)は懸命にツルハシを振り下ろしていた…。
 昭和41年、成長した英雄(沖)は双葉町に住んでいたが、原子力発電所誘致に伴う土地の買い上げに最後まで反対して村八分状態になり、娘の愛子(大池容子)も新聞配達の職を追われる。彼女は唯一、同級生の恋人・健次に安らぎを求めるが、その健次は原発の標語募集に応募して《原子力 明るい未来のエネルギー》が入選、愛子とは離ればなれになる…。
 平成23年、東京電力を定年退職した健次(勝野洋)は、同じく原発で働いていた息子を癌で亡くすが、因果関係が証明されないからと労災裁判には踏み切れないでいた。そんな時、愛子(夏樹陽子)から連絡が入り、二人は密会する。それを知った愛子の孫娘・怜(千葉美紅)がとった行動は…。そして大震災—。心に大きな傷を負った怜は避難先の東京で自暴自棄の生活を送るうち、福島への支援募金を募る金髪の若者と知り合う…という物語。
 企画は福島出身の菅乃廣監督が大震災の年の暮れに決断、取材を重ねて石川町のウラン採掘を知った井上は3つの時代を組み合わせることで「いつの時代も国や大企業の論理に翻弄され、過ちと犠牲の歴史を繰り返してきた人間の哀しさを描きたかった」という。さらに「被爆のことも、大震災と原発事故のことも、時が過ぎるとだんだん忘れられ、それをいいことに国や大企業は再び思いどおりの道を進もうとする…その怖さを今だからこそ声を大にしたかった」と力を込める。江田島出身の沖も、「被爆と原発事故は別ものではあっても“核”の恐ろしさは同じ。広島出身者としてそれを心に留めて演じました。いま、故郷の友人たちが地道に応援活動に奔走してくれていて嬉しい」と話す。あいときぼうの…72
 この作品、東京電力と実名を出しているため各マスコミは広告主に遠慮してか、全く取り上げてくれない。「ニュース報道では実名を出しているのに、フィクションの作品では何故、出してはいけないのか?。マスコミの役割とは何なのか…」と井上はタメ息をつきながらも、「広島で“8・6”の週に公開できたことは作品としては幸せです。今回の上映を導入部として草の根で周知活動を広げ、いずれアンコール上映、特集上映などで多くの方に見ていただけるようにしたい」と意気込む。
 舞台挨拶は8月2日(土)と3日(日)の16時50分からの上映前。上映後にもロビーなどで対話したいという。問い合わせは℡082・241−1781。
※チラシを手にした井上淳一(左)と沖正人(右)

幻の力作「ナンバーテン・ブルース」緊急公開

 ベトナム戦争の末期にサイゴンなどでオールロケしたものの、さまざまな事情で“お蔵入り”になっていた映画ナンバーテン・ブルースさらばサイゴン監督・脚本=長田紀生)が奇跡的に陽の目を見て封切られ、広島でも急きょ8月16日(土)〜22日(金)までの1週間、特別上映されている。初日には長田監督が舞台挨拶に立った(写真右)No.10長田監督39
 この作品は1975年(昭和50年)1月から4月初めにかけてサイゴンや古都フエ、ダナンなど“南ベトナム”でロケされたが、戦火は日増しに迫り、撮影フィルムを抱えて最後の民間機に乗り込んで飛び立った1週間後にサイゴンが陥落した。作品は一度は完成したものの当時のプロデューサーと意見が対立するなどして未公開のまま月日が経った。そして2012年、国立フィルムセンターにネガフィルムや“0号”プリントが保管されていたことが分かり、デジタル処理して劣化を補正したうえで再編集。完成版は昨年、ロッテルダム国際映画祭や尾道・お蔵だし映画祭、広島平和映画祭などに出品され絶賛された。
 物語は、サイゴンに駐在する商社マン杉本(川津祐介)が些細なトラブルから元現地雇用のベトナム人を殺したことから逃亡を決意、恋人のラン(タンラン)や日本人とベトナム人とのハーフの青年タロー(磯村健治)と共に南ベトナム北端の街フエを目指す…。というサスペンス痛快作。随所に兵士や軍用車両も映し出され、砲声も聞こえるなど、ある意味で戦争末期のドキュメンタリー映画でもある。当時「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と自惚れ、その裏で「エコノミック・アニマル」と罵られた日本人の姿が投影されているが、長田監督は「エンターテイメントとして楽しんでもらい、そこから何かを感じていただければ」と、にっこり。
 上映はタカノ橋「サロンシネマ」で、連日16時35分からの1回(99分)。℡082・241ー1781。

熟年コンビが江田島の歴史とグルメを探訪

 HOMEの人気番組あっぱれ!熟年ファイターズ土曜/9時30分)の8月23日放送分は、“江田島で歴史めぐり・宝さがし”と題し、新鮮グルメや歴史散策を堪能する。1408熟年/江田島
報道特別番組放送のため、江田島編は8月30日(土)に放送日変更
 まず一行は、地元でも人気の「海辺の新鮮市場」(江田島町江南1丁目)へ。1階の冷蔵ケースに並んだ新鮮な刺身などからお気に入りのものを選んで2階に行くと、炊き込みご飯やアラ汁、みそ汁は食べ放題!。さらに夏期限定のお宝「ひとつぶくん」も発見して…。
 続いては観光農園レストラン「夢の丘」(能美町中町)へ。ここでは農薬をいっさい使わない完全オーガニック野菜の収穫体験もでき、採れたて野菜を使ったランチに舌鼓!
 江田島には日本でわずか4社、広島で唯一の技術を持つ老舗企業がある。その「津島織物製造」(能美町中町)で初代から受け継がれた技術の粋を見せてもらう。高度経済成長期にバカ売れした“しふ”とは?
 そして江田島といえば「旧海軍兵学校」—。あまり知られていない裏話や珍しい品々、さらには兵学校ゆかりの「品覚寺」(江田島町津久茂2丁目)で見せてもらった日記帳には…。また、老舗造り酒屋「江田島銘醸」(江田島中央2丁目)では島の水を使った「同期の桜」を!
 このほか、家族で暖簾を守る老舗「坪希旅館」(能美町畑)で絶品の魚料理を中心にした膳を堪能する。

「鯉のはなシアター」公開収録版で北別府学の裏話を紹介

 広島ホームテレビの人気番組鯉のはなシアター(金曜深夜放送)の、さきごろ行われた公開収録版「光に満ちた213勝投手 影の人間秘話」が8月22日(金)25時50分から放送される。1408北別府&尾関
 今回の主人公は「20世紀最後の200勝投手」で野球殿堂入りを果たした北別府学。カープの黄金期を支えた大投手のさまざまなエピソードを紹介する。1975年、ドラフト1位で入団し、「針の穴をも通す」といわれた正確無比なコントロールから「精密機械」と呼ばれ、最多勝、最優秀防御率、沢村賞など多くのタイトルを獲得したほか、リーグ優勝や日本一を8回も経験した。その栄光に満ちた野球人生と、その陰にあった秘話が綴られる。
 また、北別府(写真上)本人とカープ芸人の“ザ・ギース”尾関高文(写真下)のトークライブの模様も番組内で紹介する。

サロンシネマ最後のフィルムマラソンは「女は度胸だ!」5本立て

 8月31日に閉館するタカノ橋「サロンシネマ」最後のフィルムマラソンは第578回うたずに死ねるか!サロンシネマ/女は度胸だ!と銘打ち、8月23日(土)21時30分から開かれる。上映作品は…。緋牡丹博徒・お竜参上 S
1『君も出世ができる』(1964年・1時間40分/監督=須川栄三、出演=益田喜頓、フランキー堺、高島忠夫、雪村いずみ、浜美枝)
2『ロッキー・ホラー・ショー』(1975年・1時間39分/監督=ジム・シャーマン、出演=ティム・カリー、スーザン・サランドン)
3『その場所に女ありて』(1962年・1時間34分/監督=鈴木英夫、出演=司葉子、大塚道子、水野久美、森光子、宝田明、児玉清)
4『緋牡丹博徒 お竜参上』(1970年・1時間39分/監督=加藤泰、出演=藤純子、菅原文太、嵐寛寿郎、若山富三郎、安部徹、天津敏)
5『あなたと私の合言葉〜さようなら、今日は』(1959年・1時間26分/監督=市川崑、出演=若尾文子、京マチ子、野添ひとみ、川口浩、船越英二、佐分利信、浦辺粂子)
◇鑑賞料金=3,000円(全席指定)
 ちなみに、いずれの作品も8月23日(土)〜31日(日)の間、同館で“ラスト・ピクチャー・ショー”として上映される。こちらは1本1,100円、大学生以下500円。

 そして最終の第579回は8月30日(土)21時30分から。上映作品は
1『昭和残侠伝死んで貰います』(1970年・1時間32分/監督=マキノ雅弘、出演=高倉健、藤純子、池部良)
2『ロッキー・ホラー・ショー』(1975年・1時間39分/監督=ジム・シャーマン、出演=ティム・カリー、スーザン・サランドン)
3『有りがたうさん』(1936年・1時間18分/監督=清水宏、出演=上原謙、桑野通子)
4『浮雲』(1955年・2時間4分/監督=成瀬巳喜男、出演=高峰秀子、森雅之)
5『ワイルドバンチ』(1969年・2時間25分/監督=サム・ペキンパー、出演=ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン、ウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソン)
 鑑賞料金は同じく3,000円(全席指定) 
 ※サロンシネマ=℡082・241−1781