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楠山忠之監督が力作『陸軍登戸研究所』を熱く語る

 現在の明治大学生田キャンパスあたりに戦中、極秘研究を続けた軍事施設があった―。その証言を綴り、一昨年「キネマ旬報文化映画」第3位に選ばれた長編ドキュメンタリー陸軍登戸研究所6月7日から1週間サロンシネマ上映)で製作、撮影、編集も務めた楠山忠之監督が来広、作品への思いを語った。
登戸/楠山監督S この研究所では、爆薬や毒物をはじめ、殺人光線、スパイ道具、生物・化学兵器、さらにはアジア侵攻の前に経済的混乱を仕掛けるための大量の偽札製造、ジェット気流を利用してアメリカ本土を襲う風船爆弾などが秘かに作られていた。軍人や研究者だけでなく、詳細を知らされないまま作業に駆り出された地元の人々や女学生たち…。終戦時に多くの証拠は隠滅されたが、その生き残りや関係者が少しずつ真実を語りはじめた。6年がかりで40人ほどの証言を聞き取りした映像200時間余りを当初4時間にまとめ、劇場公開に向け3時間に再編集したのがこの作品。そこからは当時の無謀な作戦と、その時代を生きた人々の思いが鮮やかに浮き彫りにされる。
 報道カメラマン出身の楠山監督は、ベトナムや沖縄、アフガニスタンなどから戦争の現実を伝え続けてきた。「無駄な戦争で多くの兵士や(非戦闘員の)国民が死んだ—。なぜ戦争は起こるのか? 起こしたのは誰で、どんなことをやったのか? そうした戦争の背景や構図を知りたいという思いで取り組んできた。いつも戦争は小さな出来事から始まるもの。友達のためにミサイルを迎撃すると言うけれど、その後はどうなるのか?! 逆に敵としておびき出される可能性もあるのに、誰もそこまで言及しない。そうした危機感を感じる」と言う楠山監督は、かつての愚行と、その犠牲になった人々に思いを馳せて欲しいと熱く語った。ちなみに楠山監督はこの作品で、優れた製作者に与えられる「藤本賞」奨励賞を受賞。
 なお、サロンシネマでの上映は連日10時からの1回のみで、入場料金は大人1,500円。問い合わせは℡082・241ー1781。