樋口尚文監督の佳作『葬式の名人』が1月3日からサロンシネマでアンコール上映(連日16時55分から/1月9日まで)。この作品は大阪・茨木市の市制70周年を記念して企画されたもので、川端康成らを輩出した名門・茨木高校を舞台にした異色の青春映画。
学生時代、甲子園を目指す豪腕エースピッチャーだった吉田創(はじめ/白洲迅)は、地方予選の決勝大会で右腕を傷めたため野球をやめ、卒業後に姿を消した。バッテリーを組んでいた豊川大輔(高良健吾)は現在、母校の野球部で顧問をしている。ある日、渡米したと聞いていた吉田がふらり学校に現れた直後、豊川の目の前で飛球を追った子供をかばって交通事故で死ぬ。訃報を聞いた同級生の渡辺雪子(前田敦子)や竹内みさ(中西美帆)、議員になった緒方慎吾(尾上寛之)らが駆けつけて、葬儀屋とのトラブルもあって母校で通夜を営むことになる…という物語。
プライベートでも母親になった前田敦子がシングルマザーを好演しているほか、不思議な感覚のカメラワークと美術(部谷京子)も見どころで、映画全体がいわば《夢か現(うつつ)か幻か》―というイメージで覆われている。
1月5日(日)の上映後には樋口監督が舞台挨拶に立ち、ロビーでサイン会も。
(写真は昨年秋の封切り時に来広した樋口尚文監督=ちゅピcomスタジオで)
※サロンシネマ=☎082・962−7772